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 くじけそうになるたびに、救急隊員の言葉がじわりと蘇った。気持ちを奮い立たせた。  入院してから一ヶ月後、母は逝ってしまった。あっという間、怒涛のような一カ月だった。  悲しみに暮れる暇もなく翔一は、病院から教わった通りに葬祭業者へ連絡をし、母を引き取り、アパートへ戻った。  感傷に浸っている時間はなかった。歯をくいしばった。  母の残してくれた貯金でなんとか葬儀を終えた時は、あまりの脱力感と疲労感で何も考えることができなかった。まさに「ぽっかりと胸に穴が開いたような」感覚だった。  翔一は畳の上に大の字になり、目を閉じた。闇が身体を包み込む。母の顔がぐるぐると頭の中を駆け巡る。  親戚も兄弟もない翔一は、高校一年生の春、天涯孤独の身となった。
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