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「じゃあ、お前ははなから結婚する気はないのだな、彼女を弄んでいるのだな、いいのかそんなことで」
「ち、ちょっと待ってくださいよ。弄ぶだなんて、そんなことはひと言も言ってないじゃないですか」
「朝井翔一っ、嘘を言うなっ、お前には肉食系の気が出ている。しかも昨日、腹いっぱい食べたってな」
内山田の顔がどうしようもなく下品に見えた。
「昨日、寮のメシはカレーでした」
「違う、正直に言えっ、どこまでやったんだっ」
「言えませんって」
「じゃあ、最後までやったんだな」
「なんでそうなるんですか、ノーコメントっす」
「自分だけの中にしまっておくと、身体に良くないぞ」
「どういうことですかっ」
「隠し事をすると身体によくないということだ。体内に隠し事が溜まると、いずれ身体が腐るぞ。デトックスしろ、デトックス」
ったく、これでは尋問されているのと変わりないじゃないかと思いながら「ンなわけないじゃないすか、知りませんよっ」と答える。
翔一は辟易し、「前照灯、点検します」と吐き捨て車を降りた。
「返信しなくていいのか?」
捻った身体を元に戻した内山田は、窓から顔を出し、からかうように言葉をかける。
「後でしますっ」
「すぐ返した方がいいと思うけどなあ」
内山田は頬を緩めたまま、ヘッドライトのスイッチを操作する。
「余計なお世話ですって」
「できる時にしないと、後悔するぞう」
「大丈夫ですから。次、方向指示器っ」
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