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期末テスト
街はクリスマス一色になっていた。イルミネーションが街のいたるところにきらめき、人工的な色で街は色づいている。
学生の俺達は期末テストというイベントが、クリスマスよりも先にあった。
俺と莉音はテストの成績で勝負した。
勝った方がクリスマスに一緒に過ごすプランを決めるというものだった。
もともと莉音の方が成績は良かった。俺はハンディをもらって勝負にのぞんだ。
結果は、莉音は学年1位をとり俺は惨敗だった。俺もそんなに点数は悪くない学年20位以内だったが、莉音はケタ違いだった。
莉音は性格もいい、顔いいも頭もいい運動もできる。莉音ほどいい男を俺は知らない。
ーー莉音は魅力的で、性別関係なく惚れない方がおかしいんじゃないか……
俺は男でも莉音を好きになって当たり前だと思った。
前は、あんなに自分の正直な気持ちを打ち消し、あらがっていたことを思い出し可笑しくなった。
俺は鼻で笑った。
そんな俺を莉音は見ていた。
「何で笑ったの?」
「いや……莉音に敵うはずなかったと思って……」
「今回、斗愛と勝負してたから、一生懸命俺も勉強したから……。何しようかすごく楽しみで、勉強にも力はいっちゃった。」
莉音は、なんだか恥ずかしそうに告げた。
その莉音の顔を見た俺は莉音を愛しく思えて頭を撫でた。莉音は、頬を赤くしていた。
最近、莉音の羞恥している顔を見るともっと人前で虐めてしまいたくなる衝動にかられる……。
机に肘をつき、莉音を見ながら笑みをこぼし話す。
「莉音の勝ちだから、莉音がクリスマス考えるんでしょ?何でもいいよ。楽しみにしてる……」
「何でもいいんだよね?」
「もちろん。俺は負けたわけだし、莉音のいいなりで……」
莉音はすでになにか妄想しているのか、また顔を赤くしている。莉音の耳もとで小さい声で話す。
「莉音……何想像してんの?顔赤いけど……エッチ……」
珍しく莉音は、俺に指摘されて羞恥に耐えきれず机に伏せた。
ーー莉音……本当にエッチなこと考えてたんだろうな……。どんな……?えっ……エッチ……?
俺も莉音が妄想していたことを想像すると俺も、好奇心と羞恥とがいりまじり俺も机に伏せた。
その後2人とも顔を見合わせて笑った。
俺達は付き合ってだとかそういう約束めいたものはしていない。でもお互い気持ちは分かり合い、通じ合っていた。それでいいと思っていた。
クリスマスを一緒に過ごすこともなんとなくお互い決めていたことだった。
俺は、学校以外で莉音と過ごすことが始めてで、楽しみだった。そして、莉音のクリスマスプレゼントを何にしようか悩むことが楽しくてしょうがなかった。
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