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店を潰すのに失敗したチョコは、女冒険者と酒場・道具屋から「変なことに巻き込んで」と恨みを買って自滅した。署名運動が巡り巡って自分に返ってきたのだ。
まさに自業自得。
この町でチョコをかまう人間はもう誰もいない。
「というか、お前はなんでこんなことを」
「……それは!」
「別に俺のことなんて無視すりゃよかったじゃねえか」
「……それについては俺から説明しよう」
「「誰⁉」」
言い争いにしゃしゃり出てきたのはリゾットさん。
彼は珍しく――その手にナイフを握っている。
まるでアサシンみたいに。
「お前の元雇い主チョコ・ブラウニーは、パーティーを解散して現在フリーだ」
「フリー?」
「パーティーに所属していない冒険者という意味だ」
「……え? そうなの?」
「……そうよ。何か文句ある」
リゾットさんの説明によると、俺がパーティーを抜けてすぐチョコのパーティーは追放もののテンプレみたいに機能不全に陥った。
やはり男手はあのパーティーに必要だったのだ。
俺を理不尽に追い出したことで危機感を覚えたのだろう。
メンバーは次々にパーティーを離脱。チョコは新しいメンバーを募ったが、俺の追放話が広まり誰も手を挙げようとはしない。
やむなくパーティーは解散。
ようは逆恨みだったのだ。
それだけならよかったんだが――。
「……たび重なる依頼の失敗、パーティー解散申請の遅れ。諸々で、その女は冒険者ギルドに違約金を発生させている」
「借金ってことですか?」
「……まぁ、そうなるな。複数の金貸しから融資も受けているらしい」
「なんでそこまで?」
「魔法使いは維持費がかかるの!」
「……ギルドの違約金も返済できない。個人の借金も膨大。定職につく見込みもない。そういうわけで、ギルド上層部から面子にかかわると強制執行の命令が出た」
「「強制執行⁉」」
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