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「ジェロ、私のことを庇ってくれたの?」
「まぁ、しょうがないだろ」
「どうして? 私、貴方にひどいことしたのに!」
「俺が冒険者になりたての時、声をかけてくれたし」
だからそのお返し。
――で、済ますには、払った額がでかい。
男らしくないが、金の話はおざなりにはできない。
俺は立ち上がるとクソ生意気な元雇用主の肩を掴んだ。
びくりとその小さな身体が跳ね上がる。
「流石にこれだけの大金をくれてやるわけにはいかない。あくまで肩代わりだ」
「……うん」
「お前は定職に就いてない。貸した金が返って来るアテもない」
「……分かってる」
「もう冒険者はやめろ」
それより、もっと割りの良い仕事がある。
俺は深呼吸して、チョコに言った。
「俺の店で働けチョコ。ちょうど、従業員を雇おうと思っていたんだ」
「それってつまり――」
「そうだ、つまり――」
ここまで言えば魔法使いなら分かるだろう。
察してくれて助かる。
「お前に、俺の奴隷になれってことだ!」
「私に、ジェロのお嫁さんになれってことね!」
いやなんでそうなるねん。
脳味噌お花畑か。
なんでお前のような紫髪クソメスガキと結婚しなくちゃならんのだ。
罰ゲームかよ。冗談は自分がやらかしたことを反省してから言え。
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