118人が本棚に入れています
本棚に追加
/123ページ
俺が所属している冒険者パーティーは女所帯。
避け主体の女戦士に、投げナイフ使いの女狩人、低レベルの女回復術士、そして女魔法使いのチョコという構成だ。戦闘はできるが荷物運びや力仕事ができない。
俺がいなくなったら困るだろ――?
チョコの背後のパーティーメンバーに助けを求める。
食事の準備が終わるのを待っていた彼女たちは「うんうん」と頷いた。
リーダー以外はちゃんとパーティーの現状を分かっている。
むしろ、なんでリーダーなのにこんなことを言い出すのか。
意味が分からない。
「チョコが荷物を運ぶのか? 重たいぞ?」
「魔法を使えばなんてことないわよ!」
「戦闘のために魔力は残しておけ」
「そ、そうだけれど!」
「ラスク(女戦士)は軽戦士だから動きを阻害する荷物持ちは無理。クリーム(女狩人)も。ジャム(女回復術士)はドワーフだけど……」
ちらりと俺が回復術士に目配せ。
「ドワーフがみんな丈夫だと思うな! 華奢なドワーフだっているんだ!」
彼女は荷物持ちをきっぱり拒否した。
とにかく、俺を追放するメリットがこのパーティーにはない。
得意げに追放宣言したチョコだったが、理路整然と言い返すと「ぐぬぬ!」と唸って押し黙る。透明な汗がチョコの額を走り、ブーツの先が地面をなじった。
ここで「はい論破」とやめておけばよかった。
「どうしたんだよチョコ? 俺に不満でもあるのか?」
俺は妙に正義感をふりかざしてしまった。
理不尽なパワハラを受けるのが嫌で、問い詰めてしまったのだ。
「……不満? そう、不満よ!」
「俺、何かしたっけ?」
「それは何も……」
「じゃあ、何が不満なんだよ?」
「……他のメンバーと仲良くするから」
最初のコメントを投稿しよう!