プロローグ 異世界転移して追放される奴とかおりゅ?

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「あん?」  急に小声になったせいでよく聞こえなかった。  聞き返そうとしたが、それより先にチョコの癇癪が爆発する。  彼女は地団駄を踏むと俺に向かってスタッフを構えた。 「うるさい! うるさい! うるさい! とにかく、アンタはクビなのよ!」  無茶苦茶だ。  こんな理不尽なパーティー追放あります?  立ち上がって止めようとした俺にチョコがブーツの底を向ける。  だが、そこは運動能力に劣る魔法使い。  彼女が蹴ったのはパーティーの荷物持ちではなく、「昼食の鍋」の方だった。携帯用の小さな鍋が激しくゆれて中身がぶちまかれる。  たき火が汁を浴びて灰色の煙を上げる。  代わりに俺の中で怒りの炎が燃え上がった。 「何するんだよチョコ!」 「あ、いや、その」 「ダンジョンの内での食事がどれだけ貴重か分かってるのか!」 「わ……わざとじゃないもん!」 「わざとじゃなかったら何をやってもいいのかよ! 俺をバカにするのはいい! けどな、こんな飯でも飯は飯なんだ! 粗末にしたらダメだろ!」  チョコは見た目はガキだが中身は大人だ。  最近は情緒不安定だが分かってくれると思っていた。  なのに、今日のチョコは「何か」が違った――。 「ア……アンタの料理なんてまずくて食べられないのよ!」 「なんだと!」 「私がどれだけ我慢して食べていたと思ってるの!」 「豆のスープなんて誰が作ったって味は変わらないだろ!」 「うるさい! うるさい! とにかくうるさい! もうアンタが作った『ゲロを煮詰 めたようなお昼ご飯』なんて食べたくないのよ!」 「……お前、いい加減にしろよ!」
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