僕は囲まれたくないんです

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「あっ…。」  座っていたし、髪の長さが同じぐらいだったし、何よりこんな奥の宇宙科学の蔵書の側に陣取ってるのなんて亮一ぐらいだと思い込んで疑いもなく声を掛けてしまった。 「あ、あのリョウ…じゃなくて、同じクラスの葉山くんだと思っちゃって、えっと、えっと、その城之内くんごめんなさい。」 僕は勢いよく頭を下げる。  すると手に持っていた課題が城之内くんの足元にばら撒かれてしまった。  僕は慌ててしゃがんでそれらを拾う。   ああ!机の下にも入ってしまっている!  きっと、城之内くんは呆れているだろう。  恥ずかしくて一刻も早く拾ってその場を離れたかった。 「おい、そっちは俺が拾うから、」 「あ、そんな自分でやるよ。」  僕は手伝おうとしてくれるのを阻止する勢いで拾い、そのままの勢いで頭をあげてしまい後頭部を机の端にガンとしたたかに打つ。  「いった~い!痛いよー。」   クラクラする程の痛みにせっかく拾った課題を再びばら撒いて、両手で後頭部をしゃがみながら抑えた。  ああ、なんて僕は情けないんだ。  もう二度と城之内くんの前に出られないよ。  痛みと情けなさで半泣きになっていると、 「お、お前っ!…ぶっ、ははっ!」  笑いを堪えられないという風に笑っていた。  その笑い声に惹かれて、後頭部を抑えつつ顔を上げると城之内くんの笑顔が目に入った。 「お前、小学生でももうちょっとマシだぞ。しかも高校生が『痛いよー。』って何だよ。」 思い出し笑いのように再び笑う。 「そんなに笑わないで。」 とは言ったけど、理由は何であれ僕で笑ってくれる城之内くんに嬉しくなっていた。  
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