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「ハル、嘘つき。どの子も可愛いけどハルみたいなすっげー可愛い子なんていない。」
ちょっとしたセレモニーのあと、交流のための立食パーティの時にひとしきり回ってきた亮一が僕に文句を垂れた。
「そうかなあ。」
僕はとぼける。一学年30人、全部で90人しかΩはいないけど、その中で僕はダントツに可愛いに違いなかった。
「けど、リョウくんみたいにかっこいいΩもいないね。」
「えっ!!」
「筋肉もちゃんとついてて羨ましい。」
僕がベタベタ触ると亮一は真っ赤になった。
「ハル!」
「何?」
「何じゃない。ったくなんで同じΩの男にときめかなきゃいけないんだ。」
よしよし、味方の完成。僕の婚活の手助け要員に決まりだな。
他の生徒と違ってどうもαに興味ないみたいだし。
すると一人の長い髪の生徒が近づいてくる。先ほど挨拶していた寮長の鈴木先輩だ。
「こんにちは。」
「こんにちは、鈴木先輩。」
僕はまたまた笑顔で挨拶を返す。
亮一は、何で名前知ってんの?ってブツブツ言ってるけど。
僕と亮一は、先輩に自己紹介する。
「和倉君ってすごく可愛いね。今までこんな可愛い子見たことないよ。」
「ですよね!!先輩!!俺の見立ては間違ってなかった!!」
何で亮一が興奮してんの?僕は可笑しくて笑ってしまう。
「わあ、笑顔やべえ。」
亮一は、当分僕の顔に慣れるのは時間がかかりそうだ。
「和倉君、この学園はΩに危険がないようにしているとはいえ、知ってのとおりαが多いから、君みたいな可愛い子は、必ず二人以上で行動してね。」
「じゃあ、俺がハルの側についてるよ。」
うん、これは拓真2号だな。
「それなら、安心だ。」
鈴木先輩はそれだけ言うと他の新入生に挨拶しに行った。
交流会もしばらくすると、僕の周りに人が集まり始める。今まで知らなかったけど、Ωも惹きつける程僕は魅力的らしい。
ふむふむ。前途洋々だな。明日の入学式が楽しみだ。
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