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僕は注目されてます
入学式当日。学園のルールに則って寮の外に出るためにネックガードを装着し、部屋を出た。
寮の玄関広間では、みんなが体温と脈拍を測ってヒートが近くないことを証明していた。
まだ、発情が一度も来ていない僕は当然クリアして寮の外に出る。
すでに在校生は、新入生を迎えるため、講堂に集合しているらしい。
新入生は、在校生が迎える中、名前の順に講堂に入るらしいから、『わくら』の僕は一番最後に並んだ。
まずは、αから入場する。新入生αは200人もいるから、講堂に入るまで結構待たされそうだ。
「ねえねえ、和倉君ってどんな人がタイプ?」
列の前の山岸くんが振り返って、暇つぶしに話しかけてきた。
彼は僕ぐらい小柄で華奢だが、日本人らしい顔立ちをしている。
「うーん、優しい人かな?」
「えーそれってみんなそう言うよー。じゃなくてさー見た目とか、そういうの。」
「そういう山岸君は?」
「それは、当然αでさわやか系イケメン。背が高くてスラリとしてるのがいい。ちなみに僕はゲイだからαでも女はなしかなあ。」
なるほど。そういえば僕のタイプって何だろ?
そんなこと考えたことなかった。将来養ってもらうなら、女より男相手の方が気兼ねないってくらいで、番うなら男のαって決めてたけど。
「そっか。そういう人にこの学園で出会えるといいね。」
「うん!出会う気満々!!だから、和倉君、僕の好きなタイプいたら、顔伏せてね。」
「どういうこと?」
「だって、和倉君のこと見たら絶対好きになっちゃうよー。僕のタイプの人が和倉君に惚れたら勝ち目ないもんね。」
「そんなことないって。」
「そんなことある!!」
ない!ある!って押し問答を繰り返していたら、講堂に順番に入るよう声がかかった。
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