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600人もいるαの中に入るなんて僕もみんなも大丈夫なのだろうか。急にドキドキしてきた。
α側は、Ωを刺激しないように無駄にフェロモンなどを出さないよう高校入学前から訓練してるらしいし、換気も十分で、近づきすぎないように講堂もかなり広い作りらしい。
次々と同級生達が講堂に入っていく。そして最後に僕が入ると、途端に講堂が揺れるほど騒がしくなった。
不思議に思いながら前を見ると、巨大スクリーンが設置されていて、そこに僕と僕の名前が映し出されれていた。
僕の見た目は、エリートα様達にも受け入れられたようだ。
在校生達は、講堂の中央後ろから前に向かって歩く生の僕を見ようと必死になって首を伸ばしているのが気配で分かった。
僕は気になってちらっと右を向いて先輩方を見た。
わあ、みんな背が高くってかっこいいなあ。
僕が横を向いたので、先輩方の何人かが手を振ってくる。
僕は、それに応えるように軽く微笑んだ。
「まじ可愛い!」
「最高!」
「嫁にする!」
「見てるだけでラット起こしそう!」
「お前、下品だぞ!けど、気持ちわかる。」
僕が微笑んだ方角が更に騒がしくなったので、慌てて前だけを向いた。
危ない危ない。お目当てのαが誰なのか分からないのだから、八方美人は禁物だ。
なるべく大人しく振る舞って、目当てがいたら、積極的に…。それが僕の戦略だ。
僕は学園のアイドルになる気はない。たった一人の優秀なαさえ捕まえられればいい。
しかし、僕の戦略はこの巨大スクリーンのせいでズタズタになることをすぐに、知るのだった。
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