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『……じゃあ、空。お父さんにたのんでくれ! おれがぜったい大人になったらお金返すから、友花里にしんぞうあげても良いですよ、って人のしんぞうが出てきたら、すぐしゅじゅつしてくれって!』 『元くん、でも……、……うん、わかった。たのんでみる』  俺の我が儘を聞いた空さんは、父親に俺の懇願を包み隠さず話した。  親同士が仲良いので、俺の身勝手な願いはすぐさまウチの両親の耳にも入る事になり、当然ながら俺は父さんにしこたま怒られた。  今なら父さんにぶん殴られたのも凄い判る。俺は空さんと親しいからって、ズルをしようとした。  友花里以外にも同じ症状の病人はたくさん居て、強い心臓を欲しがってる人達はいっぱい居るはずなのに、俺の妹を優先してくれだなんて。……皆、俺と同じような気持ちでいながら、それでもちゃんと順番守ってるのに。父親同士が仲良い縁で友花里に関して色々融通利かせて頂いてるってだけでも、僥倖なのに。  ウチの父さんは昔気質の人って言えば良いのか、助けを求められたら無報酬無条件で助けるくせに、自分が誰かに助けを求めるってのは苦手な人だ。
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