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 ただでさえお金持ちの美少女で頭も良いなんて、遠巻きにされ易い条件揃ってんのに。何で己を貫いちゃうかね。そういうとこ、空さんらしくて俺は好きだけど。  さて、その当時、乳児と幼児の合間に居るような小さな妹は、この頃はまだ入院してなかった。  親元離して生活させるには幼過ぎたし、いずれ入院するという内輪話が出てて小父さんの厚意で手続きも完了してたけど、俺も初めての妹とすぐ離れ離れで暮らすのはちょっと寂しかったし。 『友花里ちゃんの手術、早く出来るようになると良いよね』 『うん…。そんで俺は、真北家に何とかしてお金とご恩を返す』  俺の決意に、空さんは少しビックリしていた。何かにつけて俺が「いつかお金は必ず返す」と言っていたのは知ってたけど、恩も返すと言ったのはそういやこの時が初めてだった。  幼馴染と言っても、如何にも育ちの良い美少女と俺が一緒に登下校してるのをクラスの男子がからかってきたりもしたけど、ついこの間、誘拐っぽい出来事に遭った空さんを知ってる身としては、男の矜持よりも幼馴染の身の安全だ。
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