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 たかが小学生男子に過ぎない俺と一緒に居たところで空さんの危険度は変わらないかもしれないが、独りにさせておくよりは安全だと思って。  そして空さんは小三にして、既に男子の間ではこっそりひっそり人気が高かった。――まぁ、明らかに周囲より頭一つか二つ分は抜きん出て可愛いもんな。人気なかったらおかしいわ。  俺が嫉妬されてるのも判っていたが、真北家は妹の恩人であり、空さんは幼馴染でもある為、俺は気にしなかった。空さんも男子の俺がいつも近くに居る事を、特に嫌がってなかったし。慣れって怖い。  俺は当時から空さんが男子にメチャクチャ人気あったのを知っていた。まぁ俺も男子だし。友達が全くいなかった訳じゃない。嫉妬されるのは面倒だったが、妙な優越感もあった。 「空とは幼馴染だから一緒に居る事が多い」と説明すれば、「ふーん」と何となく納得してくれる。「幼馴染だから」っていうのは、実は説得力なんてほぼない説明だと思うんだけど、「幼馴染だから」なのか、って皆何となくで納得しちまうってのは面白いし楽だ。  空さんがモテる事を知っている俺は、不意に隣を歩く空さんと家に居る小さな友花里を脳内で並べて――嘆息した。
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