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 男に対しても凄い口説き文句言って来るよな、この人は。王子様が板に付き過ぎだろ。「大和撫子」なんて、生まれて初めて言われたぞ。  流石に付き合い長いから結構慣れたけど、偶にドキッというかギクッとするような事、平然と言ってくる。俺みたいな無骨な男にもこういう事しれっと言えるの、ある意味凄い。  この人が俺の日本人らしい髪をひどく気に入っているから伸ばしている。幼馴染は俺と違って王子様めいた外見の、とてもとても綺麗な人だし本人もそれをよく自覚しているが、自分の色素の薄いフワフワの癖毛がどうにも気に入らないらしい。 「日本人たるもの黒が一番だろ」って思ってるのか、髪同様に色素が薄く光に弱い自分の虹彩もあまり好きじゃないっぽくて、俺に髪を伸ばせと言ったのもこうして事あるごとに俺の髪を触りたがるのも、全てはこの人の自己満足。……まぁ、俺の自己満足も少しは入ってるか。  俺はいつでも完璧なくらい王子様な幼馴染の下僕で、この人の命令には従うと決めている。  幼馴染――空さんが女子でありながら誰よりもカッコイイ王子様をやっているのは、ひとえに俺の病弱な妹の為なのだから。
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