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 そういう漢らしいところに空さんの父親は(純粋な意味で)惚れたらしく、高校時代からの親友らしい。そのお陰で花屋の稼ぎではとても長期の入院なんて望めないのに、安い費用で友花里を入院させてくれる小父さんに感謝している。  大人になるまでに友花里にドナー提供者が出てくるかもしれないし、かなり安くしてもらってるものの、やはり本来の入院費と手術代はキチンと払って然るべきだ。そうしないとあまりにも不公平過ぎる。  俺は自分が幼馴染の一家にとんでもない我が儘を言ったと後から自覚したので、物凄く反省した。  その二年後だっただろうか。小三のある日、空さんは突然髪をバッサリ切った。今の俺くらい長かった髪を、未練もなくうなじが見えるくらい短くして。  着る服もいきなりボーイッシュになった。「スカート? そんなヒラヒラしたもの、とっくに卒業しましたよ」ってな顔して、半ズボンとかジーンズを穿く。幼馴染の急な変化に俺は戸惑いを隠せなくて。  一体何の心境の変化か、と当時思った俺だが、空さんの唐突なイメチェンは、友花里の為であり、ひいては俺の迂闊な呟きが引き金でもあった。
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