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『友花里、俺が大人になるまでちゃんと生きててくれるかな…』  大人になったら、家業を継ぐかもっと大きな会社に何とか就職して高給取りを目指した方が良いのか、齢九つにして金を稼ぐ方法を真剣に考えていた俺は、いつもみたいに空さんと一緒に帰っていた。  空さんと同年代の女子も近所に居るには居たけど、今と違って当時の空さんはあまり同性受けが良くなかったから、結局毎日俺と登下校してた。  親の世代だと、男子は黒、女子は赤、ってランドセルの色が決まってたみたいだが、今はそういう時代でもないらしい。俺のランドセルは深緑だったし、空さんのランドセルは意外な事に茶色だった。それもミルキーなキャラメルブラウンとかならまだ園児の女子が選びそうな色だと納得するけど、小学校高学年ならともかく、園児の時点で誰も選ばないような濃い茶色。  ピカピカの一年生。真新しいランドセルが並ぶ中、女子はピンク系が多いかと思いきや意外にも多いのが水色ばっかで、そんな中唯一、空さんのシックな茶色いランドセルは、けれど大人びた魅力として映った。明らかに周囲から浮いていたが、それは地味だからではなく、垢ぬけたお洒落感。
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