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先生「ん? 佐藤、どうした? 顔色が悪いぞ? 具合悪いのか?」
佐藤「す、すみません、先生。保健室行ってもいいですか?」
先生「ああ、いいぞ。無理するな」
佐藤は席を立ち、保健室に向かいました。とたんに教室はざわざわし始めました。なぜなら、彼は保健室に数学の教科書を持って行ったからです。
私一人が笑いをこらえていました。無事、数学の授業は終わりました。佐藤は、教室には戻ってきませんでした。そして放課後です。
私は彼のことが気になり、保健室まで様子を見にいきました。しかし、彼の姿はありません。
私「先生、佐藤がさっき来ませんでしたか?」
保健室の先生「いいえ。来てませんよ」
今思えば、この時点で何かがおかしかったのです。『お前の秘密を知っている』と指摘されただけで、佐藤は学校を無断で早退していました。
次の日、佐藤は学校を休みました。次の日も休みました。その次の日も、そしてまたその次の日も休みました。
そして私はついに、友達がこう話しているのを聞きました。
「佐藤の奴、学校やめるんだって?」
「ああ、そうみたいだな。荷物は全部運び出したって言うぜ」
なんと佐藤は、私のメモが原因で退学してしまったのです。
私は『笑いごとではない』と青ざめましたが、今更私が全部仕組みましたとも言えず、ただただ現実を受け止めるしかありませんでした。
それにしても、佐藤が抱えていた『秘密』とは一体何だったのでしょうか。仕掛けた私がわからないのですから、手に負えません。
この話を誰かにすると、『佐藤は実は人を殺していて、死体を埋めた場所を確認しに行ったのだ』と言う人もいます。
それが正しいのかどうか確かめる術はありません。ですが、彼が『この学校のどこかに俺の秘密を知っている奴がいる。このまま学校に居続けるのはまずい』と思ったことは間違いありません。
皆さんはどう思いますか? その後、彼がどうなったのか……私には怖くて確かめることができません。(了)
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