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お前の秘密を知っている
高校時代、私のクラスにとても嫌な男子がいました。
仮に佐藤と呼びましょう。その佐藤には、別の女子高の女の子を妊娠させて中絶させたという噂がありました。
その噂が本当かどうかは私にはわかりません。ただ、佐藤の女癖が悪かったことは事実です。他人の彼女にちょっかいを出してトラブルになったこともしばしばあったようです。
私は、佐藤を懲らしめてやりたくなり、朝早く登校し、誰もいないことを確かめてから、佐藤の机の中を確認しました。
すると、数学の教科書が置いてありました。どうやら佐藤が忘れて行ったか、もしくは荷物を減らすために意図的に置いて行ったようです。
私は閃き、佐藤の数学の教科書の間に、『お前の秘密を知っている』というメモを挟みました。
もちろん私は、佐藤の秘密なんか知りません。でたらめです。私は、にやにやしながら皆が登校してくるのを待ちました。
その日の数学の授業は6時限目。私は一人でほくそ笑んでいました。佐藤は一体、どんな反応を見せるのでしょう?
そして数学の授業が始まりました。先生が、○○ページを開いて、と皆に向かって言いました。
私は、今日どこから始まるのか覚えていましたから、そのページに例のメモを挟んでおきました。
佐藤が数学の教科書を開きました。私は彼の後ろの席だったので、表情はうかがい知れませんでしたが、笑いをこらえるので必死でした。
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