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「……里帆が、憧れじゃなく俺を好きになってくれたらキスしたいってずっと思ってた。でもいざ好きだって言われたら、信じられなかった。まさか俺が望んでた結果になるなんて思ってなかったから」
里帆の手を亘の手がきゅっとにぎる。
「いつか里帆が勘違いだと気づくんだったら、恋人じゃなくていつまでも頼れる幼なじみでいたかったんだ」
指を絡めると亘の手の温度が高くなっていく。里帆も、自身の身体が熱くなっていくのを感じた。
「里帆に本当に好きな人ができでもしたら、俺は生きていけない」
「……大げさだよ。大げさだけど……私もそう思ってる」
亘が誰かとつき合うなんて考えたくもない。想像もしたくない。
「亘くんがモデルさんと絡んでるのだって、すごい苦しくなった。仕事なのに、助けてもらってるくせに、嫌だなって思った」
里帆はまっすぐ亘を見上げた。絡まる視線が熱い。
「キスしてほしいって思うのは、憧れじゃなくて亘くんのことが好きだってことだよ。エッチだって……好きな人としかできない。私が好きでもない人とできると思う?」
その言葉で亘は目を見張る。やっとわかってくれたのだろうか。
「里帆……」
指は絡めたままで、もう片方の亘の手が里帆の頬を撫でる。少しずつ近づいていく距離。
「好きだよ、里帆」
亘がはっきりと口にした告白。里帆の目に溜まった涙が溢れる。
「私も好き。亘くんが好き」
「……里帆は二回もがんばってくれたのに、逃げてごめんな」
「ううん、もういいよ。好きって言ってくれてうれしい……っ」
息がふれる。
「やらしいことするより、キスしたら俺はもう戻れないって思ってた。我慢するの大変だったよ」
唇を動かすたびに、もうふれてしまいそうな距離だ。
「戻らないで……お願い」
「……っ……」
亘の唇が重なる。ちゅ、と音を立ててくっつき、すぐに離れていった。至近距離で見つめ合う。
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