38 告白

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「里帆……キスは初めて?」 「……ううん……大学生の時に」  失恋直後に告白をされてできた彼氏だ。友だちのような存在だった彼のことはちゃんと好きになれた。でも、亘の時ほど夢中にはなれなかった。 「そっか。悔しいな」  亘が再び近づいて、唇がふれる。 「ん、ん」  今度は二回くっついて、離れていった。 「あの告白を受けてたら全部俺が初めてだったのにな」 「そうだよ……亘くんのばか」 「ほんとだな」  会話の合間に何度もキスをする。 「これから、嫌ってほどするからな」 「嫌になんかならないけどね」  くすりと笑いあって、どちらからともなく唇を寄せ合う。 「ん……」  今度は深く重なるキスだ。さっきまでのキスよりも亘の唇の感触が伝わってくる。あたたかくて、少し硬い唇。  亘が口を開いて、ぱくりと里帆の唇を食べた。それから唇を舐める。 「んっ……」 「里帆。口ひらこ?」 「え……ぁ」  里帆は言われた通りに口を開いて見せた。すると、するりと亘の舌がもぐり込んでくる。 「んんっ」  口の中に入ってきた亘の舌は、里帆の咥内を丁寧に舐る。口の中に他人の舌が入っているのだと思うとおかしな感覚だ。鼓動が速くなっていくのを感じる。里帆はどうしたらいいかわからなくて、ただ亘にされるがままになっていた。 「……は、ぁ……」  舌が離れると、里帆はぼんやり亘を見つめた。 「どうした?」 「こ、このキスは初めて……」  里帆は自分の唇に手を置いて、顔を赤くする。初めてできた彼氏とは普通のキスしかしていない。年齢のわりに里帆はあまりに経験がなさすぎた。 「っ……里帆」 「んんっ!」  亘が我慢しきれなくなったように激しくかぶりつく。里帆の両頬を包み、またすぐに咥内に舌が入り里帆の舌を絡めとった。激しいキスをしていると唾液が溢れ、こぼれていく。亘はそれさえも舐めとっていく。大人のキスに眩暈がした。じゅ、と水音を立てて舌を吸われて、里帆は身体に力が入らなくなった。  唇が離れ、亘の胸によりかかる。 「ふぁ、ぁ、亘く……くるし……」 「鼻で息して」  そう言われてもうまくできなくて苦しくなるばかりだった。 「里帆、ごめんとまんない」 「え……」  顎を持ち上げ、またキスが降りてくる。  今までのキスを取り返すように、長い長い、深く味わうようなキスをした。 「も、だめ……」 「……続きは、場所を変えようか」  ぼんやりするなか、甘い囁きが聞こえた。
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