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「泊まるだろ。先風呂入る?」
「えっ」
「先に風呂入ったほうが、リラックスして話ができるかと思って」
「あ、そうだね。そうさせてもらおうかな……」
亘が壁についているボタンを操作すると、音声で「給湯を始めます」を流れた。
「荷物は適当に置いて。そうだ、着替えは……俺のでいいかな」
「うん、用意してなくてごめん」
「突然誘ったからね」
バスルームのお湯が溜まるまで、亘は里帆の着替えや新品の歯ブラシなどを用意してくれた。再会してすぐにお泊まりをすることになり、緊張していたけど、友だちとのお泊まり感覚で楽しくなってきた。昔は亘の家にもよく泊まりに行ったものだった。社会人になり、忙しくなって、友だちの家にすら泊まるということも少なくなってきただけに、心が弾む。
そうこうしているうちにお風呂が沸いたことを知らせる音楽が流れた。
「先、風呂どうぞ」
「ありがとう」
着替えとバスタオルを持ってバスルームへ向かうと、広くきれいな洗面台。バスルームを覗くと中も広く、モニターのようなものまでついていて高級ホテルに来た気分だった。
「ボディソープとかシャンプーとか、俺のだけど、これ使って」
「う、うん……」
「どうした?」
「亘くん……なんか違う人みたい」
「なんだそれ」
頭をくしゃりと撫でられて、「ごゆっくり」と亘は出て行った。
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