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人の家というよりはどこかのホテルに泊まりに来た気分で、里帆は服を脱ぐ。まだ、亘の家に泊まりに来たんだという現実がふわふわと浮いていた。
バスルームに入り、シャワーを浴びて亘が普段使っているボディソープやシャンプーを借りた。トリートメントまであって、ちゃんとしてるんだな、なんて感心をしてしまった。いい匂いに包まれ、バスタブに浸かると一週間の疲れが癒やされていくようだった。自分の家も落ち着くけれど、磨き抜かれた人の家が、こんなに心地いいものなのかと改めて思った。他人の家だったら普通落ち着かないものだろうに、里帆はなぜか心をとろけさせていた。このまま眠ってしまいそうだ。
いつも以上に時間をかけてあたたまり、身体を洗った。自分の身体を丁寧に労りたくなった。バスルームからあがると、身体の芯までぽかぽかだ。用意された亘の部屋着に袖を通し、リビングへ戻る。
「ちゃんと温まったか?」
「うん、気持ちよかったよ。ありがとう」
「そりゃよかった」
亘はエプロンをつけてキッチンに立っていた。何かをしているみたいだ。
「ちょっと座ってて」
「はーい」
一人では大きいソファに座る。正面にある大きなテレビにはニュース番組が流れていた。
「お待たせ」
少しして亘が持ってきたものは、いい匂いがした。
「なにこれ?」
「スープ」
スプーンを入れたマグカップを手渡され、覗くとコーンスープだった。お風呂上がりにスープというのは慣れていなくて里帆は亘を見上げた。
「飲むとあったまるからさ」
「……うん、ありがとう」
髪を濡らしたままスープをそっと口に運ぶ。
「コーンスープとか久しぶりに飲んだ……わっ」
あたたまった身体がさらに内側からあったまっていく心地よさに息を吐いた時、頭にタオルが降りかかる。
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