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「朝飯、洋食でもいいか?」
「もちろん!」
すでにリビングの低めのテーブルには、出来上がった朝食が並んでいた。きつね色に焼けたトーストに、小さめのサラダにスープ、ハムエッグ、それからフルーツまで。
「おいしそう!」
「簡単なものだよ」
苦笑しながらエプロンを外した亘が、ソファの隣に座る。
朝ごはんをしっかり食べるのも久しぶりだし、それが人の手作りだという感動から、里帆はすぐに「いただきます」と手を合わせてフォークを手に取った。サラダのしゃくしゃくとした歯ごたえに、トーストの香ばしい匂い、ハムエッグのしょっぱさ、全部がおいしくて、勢いのまま口に運んでいく。
「落ち着けって」
「だっておいしいんだもん」
「ありがとな」
隣で亘が優しく微笑む。
二人で朝食を食べ終えると用意してくれたカフェオレで一息。なんて素敵な休日の朝だろう。ほっと息を吐いたところで、あることを思い出した。
「そうだ、亘くんっ、どうして?」
「なにが?」
亘も同じくコーヒーを飲みながら雑誌を読んでいた。
「すごいよ亘くん、なんで?」
「だからなにが」
里帆の興奮した様子を見て、亘が笑った。笑われて、自分が興奮していることに気づいた。もう一度ゆっくりカフェオレを飲んでから、亘を見つめる。
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