06 カウンセラーの効果

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「私、今まで寝起きすごい悪かったのに、今日はすっきり目覚めたの。亘くんがなにかしてくれたんじゃないの?」 「いや、何もしてないよ」 「嘘っ!」  じゃあどうしてあんなに朝が気持ちよかったのか。一人の休日とは明らかに違うので単純に睡眠時間の問題ではないことはわかる。他になにか理由が? 「それなら、また一緒に寝ようか」 「えっ」 「一緒に寝て里帆がすっきりするんならいくらでもつき合うよ。添い寝でもいいし」  さらに甘やかすような提案に、里帆は思案した。  いろいろと葛藤はあった。昔好きだった人だし、また好きになってしまったらどうしよう、とか亘なしで眠れなくなったらどうしよう、とか彼氏でもない人に一緒に寝てもらうなんて倫理的にどうなんだろう、とかたくさんのことを考えたけれど、睡眠の心地よさ、目覚めの気持ちよさには勝てなかった。 「……お、お願いしたいです」  気がついたらカフェオレを持ったまま頭を下げていた。甘えすぎている自覚はある。でも亘が優しすぎて、甘えたいと思ってしまった。ずっとじゃないから、いつまでも甘えるわけじゃないから、と自分に言い訳をして。 「でも、迷惑になったら言ってね!」  付け足すように慌てて顔を上げた。 「わかったよ」  大きな手が頭を撫でる。亘のこれは、癖なのだろうか。もう子どもでもないのに、昔みたいな子ども扱いだ。でも今はそれも心地よかった。 「じゃあ、添い寝アリの恋人ごっこってことで」  幼なじみに、おかしなことをお願いしてしまった。でも里帆はもうこうするしかない。仕事のために、彼に協力してもらうしかなかった。申し訳ないと思いながらも暗闇に光が差した気がして、心が軽くなった。 「よろしくお願いします……」 「こちらこそ、よろしく」  亘は再会した時と変わらない顔で笑った。
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