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嫌味な継姉
まぁ、嫌なら付き合わなければいいんだけど、戸籍上異母姉妹という関係なので、そうゆう訳にもいかない。
茉莉江や京子にとって一般小市民の子は相当恥ずかしいらしい。
私達異母姉妹の伯母に当たる人の義実家が世界的な高額納税者番付にも常連で出ているような大資産家だし。
伯母も伯父も揃って中央省庁の幹部官僚。
だから、とってもわがままでタカびーで、母親・ナツさんにそっくりな
見栄っ張りなところがあって、どんな時でも自分らが1番中心じゃないと
途端に機嫌が悪くなる。
ん~……まぁ、かなり付き合い辛いとこはあるけど゛付かず離れず゛の距離を保って付き合う分には大した問題なかったんだよ? 今まではね……。
茉莉江は色白で髪も綺麗な栗毛色で艶々サラサラ。
目もぱっちり二重で・超お嬢様。
芦田愛菜さんや寺田心さんの影響をモロに受け、幼稚部年長組の時からとある大手芸能プロダクション付属の劇団に所属し、コマーシャルやドラマ・映画等の子役をしてたし。
とにかく小学校入学前から皆んなの注目の的だった。
他の地域や学校とかにファンクラブとか後援会みたいのまであるとか聞いた事がある。
だからその頃の私は、たとえ茉莉江の引き立て役にされようが、彼女と仲良しな事に少し優越感を感じていたのかもしれない。
―― ランチタイム
大抵の子はキャフェテリアで仲のいい子ら数人のグループでテーブルを囲み、ワイワイガヤガヤ賑やかに昼食を進める。
茉莉江をリーダーとした私らのグループも、ご多分に漏れずその中のいちグループ。
但し、茉莉江のおかげで、夏は涼しく・冬は明るい日差しが心地よい窓際のテーブルが確保されている。
そして、ランチタイム開始と同時にとんでもなく混み合うセルフサービスカウンターに並ぶ必要もない。
茉莉江に盲従しパシリにこき使われてもヘラヘラと笑っている中等部の子が買ってきてくれるから。
それを茉莉江や京子は”当然の事”と受け止めているが、私は茉莉江の言う通り根が庶民だからいつまでたっても慣れない。
「……ね…… ―― やね? 絢音っ!」
「……」
「ねぇっ、絢音、私の話聞いてたぁ?」
急に茉莉江の顔が近づいてきた。
ちょいと物思いに耽っていた私はビクッとした。
「ぁ ―― ごめん。ボ-ッとしてた」
「もぅ……」と茉莉江が頬をふくらませる。
「今夜の合・コ・ンで。家の事聞かれたら間違ってもバカ正直に答えないでね」
えっ ―― 合コン?
あっちゃ~……今夜だったか、
すっかり忘れとった……。
「ハイハイ、判ってます……けど、私、別に相手からよく見られなくてもいいし、そんな見栄はる必要ってあるのかなぁ?」
と、試しに聞いてみた。
「だってさ、茉莉江の義妹が実は父の妾腹なんてバレたらチョー恥ずいしー、そんなのと家族? って思われちゃうじゃなぁ~い」
と、嬉しそうに微笑んだ。
《正確に言うと妾腹ではなく【婚外子】にあたる。ちょっと複雑だけど、父は和泉ナツさんと結婚する前既に、私の母と将来を誓い合った恋人同士でしかも母は私を身ごもっていた。ここでナツさんの横やり(横恋慕)がなければ、父と母は普通に幸せな家庭を築いていたが、どうしても父との子供が欲しいナツさんが父の実家の負債問題の肩代わりを条件に、父との結婚を強行した。俗に言う゛略奪婚゛だ》
相変わらずデリカシーの欠片もない失礼発言。
何とかならんのかな……
「じゃあうちら、午後から用事あるから帰るわ。また今夜、合コンでね~」
茉莉江と京子は、ランチが済むとそそくさと席を立ち早退して行った。
おそらく、2人してエステサロンにでもしけ込むつもりだろう。
授業をサボってまで自分の美を追求するなんて、私にしてみれば愚の骨頂以外の何物でもない。
大体の庶民は親が色々庇護してくれるのは、学生のうちだけで、一旦社会に出れば自分1人の力で自活していかなければならない。
そうなった時、頼りになるのは学生時代に蓄えてきた人望であり・知識であり・コミュ力、だと、私は思っている。
だから、親があれこれ世話を焼き、護ってくれている今のうちに出来る勉強はしておかなきゃ損なのだ。
けど……今夜の合コン、パス出来んかなぁ……。
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