不貞の事実はありません

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「あれ~……? たしか魔術師団のオーレリアさんですよね? ん? どうして中将と寄り添ってここに……あれれ? これはまさか?」  口火を切ったのは、下士官である。  良からぬ微笑、謎の勘ぐり。  面倒なことになる前にと、オーレリアは一歩踏み出してハッキリと告げた。 「まさかも何も。何もないです。たまたま居合わせたときに事件が起きただけです」 「いやいやいや、オーレリアさん。隠さなくていいですよ。お二人のその距離。たまたま居合わせただけでそんなに仲良く寄り添って……あ~これはこれは」  断じて寄り添っていたつもりはない。ただ近くにいただけなのである。  しかし下士官はすでに、ありもしない何かを確信してしまった様子。にへら~っと顔が笑っている。 「そういうこと。そういうことでしたか、隅に置けないな~中将もオーレリアさんも」 「待っっっって!? いま何を納得しようとしたんです!?」 「いやだってほら。うちの中将っていえば堅物で浮いた噂のひとつもなく、そっち方面どうなってんだで有名なんですけど」 「知らない! そんな軍部の噂なんかまったく耳に入って来ないし、いままで中将に興味を持ったこともないし!!」 「はいはい、わかりました。わかりました。そういうことにしておきたいんですねっ☆」 (☆……、☆飛んだけどいまの何!?)  あの、ちょっと……、ええ……? とぶつぶつ言っているうちに、オーレリアは奇跡的に真横に立つ人物のことを思い出した。 「中将! 部下! 部下どうなってんですか!! まるで中将と私の間に何かあるみたいに勘違いしていますけど、はなはだ迷惑なんですが!?」  
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