男一徹 力愛不二

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 街中を歩いていて、中学生なのに客引きに逢い。  子供からオジちゃん呼ばわりされて泣かれ。  セール中だからと飲食店ではビールを勧められる。  一徹自身は、表情に大きく出さなかったが、落ち込んでいるのが青葉には分かった。青葉は別の意味で同級生が大人の階段を上っていくような気がして、かなり寂しい気持ちになった。  そんなある日のこと。  その日の夕方、一徹と青葉は街中を歩いていた。  雑踏にカラコロと音が交じる。  一徹が下駄を履いているためだ。  青葉が理由を訊くと、靴を履くと水虫になったと答え、青葉は一徹のオッサン化に嘆いた。  また、服装こそ学ランを着ているが、一徹は学生服を着たまま柔道の鍛錬を独自で行っていたため割りかし傷んでおり、それを隠すために黒い外套を羽織っていた。  明治、大正、昭和にあったというバンカラの再現であった。  一徹が新発売のプロテインを購入するのに青葉は付き合いで、放課後に出かけたのだが、そこで男に絡まれている少女の姿を目撃した。  場所は、センター街にあるゲームセンター近く。  若者が多い場所でもあるから、ナンパの類も多いので、男女のいざこざケンカは珍しくない。 「ヤダ。やめてよ」  少女は男から肩に腕を回されて嫌がる。  高校生あたりの10代の女の子。丈の短いスカートにトレーナー。足元は足首丈の靴下にローファーという格好だった。髪はアンナチュラルな茶色。化粧も、派手めな感じで、日頃から遊び呆けている印象だ。  男もほぼ同年代の派手なスカジャンを羽織った金髪の男。  身長は170cm程で、髪は短め。  体つきは細身で、肌は色白。  目鼻立ちは整っており、一見するとイケメン風な顔立ち。  しかし、その表情は凶悪だった。  口元には笑みを浮かべているが、目は笑ってはいない。むしろ、相手を小馬鹿にしているようにも見える。  少女は抵抗している。
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