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いや、ゴリマッチョといった印象がある。
また、その体格からは精気が溢れ出ており、見る者に活力を与える。
まるで、神社の注連縄をされた大岩にも似た力強さを感じさせる。
そんな、少年だ。
少年の名は、田麦一徹と言った。
「なあ。一徹って、最近変わったよな……」
そう言葉をかけて来た少年がいた。
体格は良いが細身。
その顔立ちは、どこか小動物を思わせる愛らしさがあった。女子にも、そこそこ人気があるようだが、本人は無自覚だ。
名前は西尾青葉と言った。
一徹と同じ中学校に通う生徒であり、柔道部仲間でもあった。
青葉は、同じクラスの友達として、一徹に声をかけた。
確かに、最近の一徹は変わっていた。
以前は、もっと朗らかでゲームや漫画の話しをしたり、好きなアイドルや女子について語り合ったものだが、最近はそういった話を一切しない。
それどころか、話しかけても反応が薄い。
そんな一徹の変化に気づきつつも、青葉は気にしないようにしていた。
しかし、日々蓄積していく友人の違和感は、些細なものを越えている気がしてならなかった。
中学生なのに、同じ同級生なのに、一徹の中身がどんどん大人になっていくような……。
悪い言い方をすれば、中年のオッサンになっているような。そんな漠然とした不安を感じていた。
いや、そうだ。
一徹を描く線が太すぎる。
線や影の描き込みが多く、濃い絵柄で描かれているようにしか見えなかった。
それは、まるで線の細い少年漫画の世界にハードボイルド劇画タッチのアシスタントが場違いに入り込んで、モブキャラを描いてしまった様な、空気の読めない違和感となっていた。
一徹がだ。
だからだろう。
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