男一徹 力愛不二

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 一徹の写真を見せてもらうことにしたのだ。  すると、彼女は快く応じてくれた。  アルバムを取り出し、見せてくれる。  青葉と光希は、自分達の中1時代の集合写真を見て、一徹が居ないことに気が付き、驚愕する。 「一徹が居ない!?」  クラス替えは行われていた。  光希は、青葉と一徹とは別クラスだったが、青葉と一徹は同じクラスなので、青葉のクラスに一徹居る筈だ。  だが、居ない。  青葉は疑う。そんな訳はない。入学時に全員揃った状態で撮ったものなので、別枠に写真がある訳でもなかった。 「どういうことだよ」  青葉は訳が分からず混乱する。  でも、中1の時の集合写真には、やはり彼は居なかった。  光希は提案する。 「待って。集合写真は出席番号順に並んで座っているから、番号を数えてみれば良いんだ。田麦君の出席番号は?」 「10番」  青葉は答えると、青葉が居た中1の集合写真にある男子生徒を数えて、指が止まった。俯瞰(ふかん)的に見ていたので分からなかったが、そこに一徹は居た。  体格の良い、背の高い少年だ。人懐っこい笑顔を浮かべている。現在の様に筋骨隆々としてもいなければ、線も太くない、中年臭を感じさせない少年だ。 「彼が、田麦君だよ」  光希は断言した。  青葉は、愕然とした。信じられない。  あれほど、毎日一緒に登校していたはずなのに。  一徹がオッサン化してしまったことを、全く知らなかった。  だが、なぜだ。  どうして、こうなったのだ。  その疑問は解けないまま、中1時代の写真を食い入るように見る。  光希は中2なってからの集合写真を出す。  僅か一年後の集合写真だが、みんな少しずつ変わってきているが、劇的に変わっている人物が居る。
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