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いやまあ、攻略しまくったけどさ
ゲーム世界に転生したと気付いてから何年かした後で、ストーリーとは違うタイミングで勇者とエンカウントしてしまった。しかも、レアアイテム目当てに、ジョブを偽った状態でパーティーを組んでしまった。
確かに、私のシーフスキルはレベルが上がっていたらしい。だが、積極的に伸ばした訳では無い。偶然の産物である。
そもそも、出会いが出会いだけに、最初は勇者とは思わなかった。勇者、敵の攻撃のせいで、下手したらそのまま死んでいたから。それを、私の魔法で偶然にも助けてしまった訳だが……勇者は人を疑わないと言うか、純粋と言うべきか。国の偉い人から渡されたレアアイテムまで、初対面の人に渡す様な人間である。
一応、「仲間になるなら」と条件は付けては来た。だが、仲間にならずに逃げる可能性を考えもせずに、レアアイテムを渡してきた。もし、私が持ち逃げをしていたら、その後はどう始末を付けるつもりだったのか。
何にせよ、この勇者は「私のジョブが泥棒」だと信じている様だ。ただ話しただけなら、簡単に信じはしなかったかも知れない。だが、ご丁寧にも鑑定アイテムを使って、中途半端にシーフスキルのレベルは確認してしまった。なので、違和感を覚えてもいないのか、勇者は「私のジョブが泥棒」だと信じている様だ。
勇者は、「買い揃えたいものがあるから」と、街を目指していた。なので、一旦は最寄りの街に案内した。そう、私が生まれた街である。ただし、街が良く確認出来る場所まで案内した後で勇者に告げた。
「私はあの街には近付きたくない。理由は、仲間になる前に伝えたよな?」と。
幾らかしぶった後、勇者は私がレアアイテムを持ち逃げするとも思わないのか、単に妥協したのか、一人で街へ向かった。一応、勇者とは「別れた場所を待ち合わせ場所にする」ことで意見を合わせた。
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