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真緒ちゃんは誰とでもすぐに話せる。それに二人は、二学期に同じ班だったからなおさらだ。
私は男子とはあまり話せない。何を話していいのかわからないし、話そうとすると、のどの辺りで圧縮された空気の塊みたいなものが邪魔をする。でも、おはようぐらいは言いたかったなと、小さくため息をついた。
朝の会が始まり、担任の信濃先生が出席を取っていた。
「小野塚喜々」
「はい」
「葛西航」
返事が無い。あれ? あの電車に乗っていたのだから遅刻しないはずなのに。
「葛西は休みか?」
廊下からダダッと走る音がして、がらっと戸が開く。息を切らした葛西くんが教室に飛び込んできた。
「セーフ? アウト?」
「仕方ないな。セーフや。次は無いぞ」
「はい」
そう言われていたのに、二日後にまた葛西くんはぎりぎりに登校してきた。
どこかに寄って来ているのかな。
なぜだか気になった。
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