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 公園事務所の屋根から、太くて長いつららがいくつも伸びている。その下にある南天にしずくがかかったのか、緑の葉っぱと赤い実が氷でコーティングされていた。 「すごい……」  そこにまた雪がふわりと舞い降りる。その様子も撮っている。  木という木には、こんもり雪が積もっていて、まるで真っ白なコートを着た巨人が並んでいるようだ。 「ちょうどいい。頼みがある」  何? 葛西くんは手袋を渡してくれる。 「手袋で降ってくる雪を受け止めてくれ。小野塚のは白い手袋やから」  言われるままに葛西くんの黒い手袋を着けた。
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