女装男子とまさかの熱夜!?

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 ほんの数分前まで、あんなにも混乱し大いに戸惑っていた癖に、覚悟を決めた途端に、何もかもがどうでもよくなってくるから不思議だ。  ーーやっぱり相当酔っているんだな。だったら怖くない。  もし仮に明日目が覚めた際に、カレンと気まずくなってしまっていたとしても、全部酔ったせいにしてしまえるのだから。  ーーこんなにも都合のいいことはない。  おそらく、今この瞬間を逃したら、二度とこんなチャンスは訪れないだろう。  だったらカレンにすべてを委ねてしまいたいーー他の誰でもないカレンに。  この時点で、カレンに対して親友以上の特別な感情を抱いてしまっていたというのに、恋にはその自覚などまったくといっていいほどなかった。  このときの恋は、これまでもう無理だと諦めつつあったものが、もしかしたらカレンとなら乗り越えられるかもしれない。という期待感に突き動かされていたのだ。  一方、無自覚な恋によって、これでもかというように、強烈な一撃で煽られてしまったカレンは、己の中で微かに踏みとどまっていた理性が木っ端微塵に砕け散るのを感じていた。  長い年月を経て静かに眠り続けていたのだ。否、眠っていたのではなく、ずっと燻り続けていたのだ。もうこうなってしまった獣を止める術など、世界中を探したとしても、存在しないだろう。  あたかもタガが外れてしまったかのように、何もかもが溢れ出てしまいそうだった。これまで募りに募っていたものが最大限に膨らんで、それらはもう抑えきれないほどに膨張してしまっている。  後は爆ぜるのみ。
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