崖っぷちに神様もとい俺様降臨!?

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崖っぷちに神様もとい俺様降臨!?

 ーーなんだろう? この、ふわふわした感覚。それに、なんだかあったかくて、すっごく安心できる。まるで天国にでもいるみたい。  春の日だまりのような微睡みの中を彷徨っていた恋は、文字通り夢心地の中にいた。  許されるならいつまでもこのままでいたい。  恋は無意識のうちに現実世界から目を背けようとしていたのだろう。  いつもの起床時間をすぎ、六時になっても起きる気配さえない。  子供の頃からの習慣でもあったので、少々飲み過ぎていようとも、どれだけ疲れていようとも、まだ日が昇らない早朝から花市場へ仕入れに向かう父の見送りを欠かしたことがなかった。  といっても、毎日ではない。  個人が営む小さな花屋なので、仕入れに行くのは月曜日だけだったが、基本花屋の朝は早いのだ。  先月から入院中の父の代わりに、父の妹であり、恋にとっては叔母ーー香苗(かなえ)が仕入れはもちろん、店舗業務まで引き受けてくれている。  香苗は専業主婦で、隣町に住んでいるため、母が亡くなってからはよく面倒を見てもらっていた。恋にとっては母親のような存在だ。  ーーあー、よく寝た。こんなに寝たのなんていつぶりだろう。  毎朝決まって、スマートフォンのスヌーズ機能のけたたましいアラーム音で目覚めている。が、その音ではなく、珍しく自発的に目を覚ました恋は、清々しい心持ちで目一杯両手を広げ伸びをした……まではよかったのだが。  胸もとに不可解な感触を覚え、恐る恐るゆっくりと視線を下方へと巡らせてみる。
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