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君は魔女?10
そして、見たのは木の棒に巻き付けられて、身動きを取れなくされた彼女の姿。
他の数人の女性は、喚き散らしたり、泣き出してしまっていたり、激しく怒って暴言を空へ、人へ、神へ、ぶつけまくっている。
そんな中でも、やはり彼女は変わらない。
足元から赤く赤く染まって、肉や血管や筋肉が黒く焦げて行く中でも、大人しく静かで、優雅ですらあった。
風が吹けば、炎は勢いを増す。
その揺らめく陽炎の中、金色の髪はフワフワとちりじりになりながら浮かび上がる。
その瞬間に、元の色へと戻って行くのを、ぼんやりとして眺めている。
潤んだ目に張った膜が熱くて、瞬きをすれば液体になって零れ落ちていってしまいそうだ。
悲鳴や叫び声、断末魔の、それらが響き渡る。
届いていたなら、せめて、と、何度も告げたごめんなさいを掻き消して。
けれど、結局彼女の声は、本当の最後のその時まで、一度たりとも聞くことは叶わなかった。
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