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真夏の夜の出来事
大学三年生、ジリジリと暑い夏がもう目の前。
そろそろ就活に本腰を入れなくてはと憂鬱に思い、神経も少しピリピリし始めていた、俺も周りも。
だから飲めば現実逃避しようと、それはそれは異様に泥酔した。
✴︎✴︎✴︎
「悪りぃ夏目、ちょっと貸して」
俺の隣りで寝ていた久喜が寝返りを打つと、事もあろうに俺のGパンのジッパーを下ろした。
え?何?
なんでっ!?
少し前から目は覚めていた。
隣りの部屋で本番が始まっている。
男五人、宅飲みで雑魚寝。内、二人はゲイのカップル。しこたま飲んだ後、隣りの部屋でセックスを始めた。
男の喘ぎ声とは言え、下半身が全く反応しない訳ではなかった。それは久喜も同じだった様だが、どうして俺のGパンのジッパーを下ろすんだ!?
何?何してんだ?
反射的に腰を引く間も無く、久喜が俺のモノを握って扱く。
勃ってしまったが、寝てる振りをしているから目は閉じたまま。でも、目茶苦茶に気持ち良い、どうしようかと思う。
もう一人の友人、小島は少し離れた所で大いびきを掻いて爆睡している。きっと起きないだろう。
「夏目、いいモン持ってんな」
俺のフル勃起したモノに目線を遣ったのが薄目で見て分かった。ははっと笑いながら、今度は自分のモノと一緒に握って扱き始めた。
ええっ!? と最初驚きが凄過ぎたが、それ以上にもの凄く気持ち良い…眉間に、これでもかというほどに皺が寄り、
「ん、ふっ… 」
と小さく喘ぎ声が出てしまい、急いで扱いている久喜の腕を掴むと、目をパチリと開けた。
「えっ?夏目、起きてたの?」
扱く手が止まり、キスでもしてしまうのではないかと思える距離で久喜が訊いた。
「起きていた訳じゃない」
扱かれ始めてから、目が覚めたという事にしようと思った。されるがままになっていたのでは格好が悪過ぎる。
「悪りぃな、止めらんねーから、お前の貸して」
そう言うと久喜はまた俺のモノと一緒に握ると扱き始めて、俺の頭を胸に抱える。手のやり場に困り、久喜の腰に手を回して体勢を堪えると抱き合う様な形になってしまった。
正直、一人でするのと比べものにならない位に気持ちが良くて、自分の息も荒くなる。
次の瞬間、息が出来ない位に力の限りに抱き寄せられると、久喜とほぼ同時に俺も達してしまった。
「はぁ、はぁ、はぁ…… 」
薄笑いを浮かべながら、久喜が「気持ち良い〜」と囁く。
「夏目も射精ちゃってんじゃん」
「仕方ないだろう」
そう言うしかなかった。
だって俺も気持ち良かったから、などとは絶対に言わない。
久喜には、こんな事は何でも無い。
飲み会で酔うとこうして誰かとヌキ合いをしている様だった。
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