奏でる

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奏でる

 大きなコンサートホールのステージの上。  ステージの真ん中でライトを浴び、アマギは髪をかきあげながら立っている。長いドレスを着たスッと立った美しい立ち姿。  白い肌、細く美しい、糸のようなしなやかな銀髪。さくらんぼうの様な艶のある唇。白魚のような細く長い指。  両手で長い銀髪を左にまとめ体の前に押し抱く。  細い指で髪をすくようにかき上げたり横向きになでたりする。  髪は銀色の細い束になって流れ落ち、横に振られる。  得も言われぬ美しい高温の金属音が響く。 『シャラララン。シャラン。シャラシャラシャラ・・・・』  それに合わせるように唇を開くと、美しい唇から、人の声ではないような美しい高音の音が初めは細くひそやかにそして、段々と大きく伸びやかに歌の花が広がっていく。  そして、フラメンコのように腰を捻ると足を踏み鳴らし、初めは静かに段々歌に合わせて、激しく、髪をかき鳴らし、歌いながら、足でリズムを刻み、抒情的に全身で音楽を奏でる。  それは歌や髪の奏でる繊細な高音に対して低いビートで激しく体を揺らし、よくもこのまま歌ったりそれに合わせて髪を書き抱けるものだと思うほどに。    やがて激しいリズムは段々と静かになってゆき、歌が終わりに近づくとだんだんと体の動きも腕の動きも静かになっていきやがて聴衆が気づくと初めの美しい立ち姿に戻っていた。  絶大な拍手を浴びながらアマギはステージから去っていく。
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