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何なの!? お金持ちかしらないけど。
ムカムカした気持ちになって、アーケード商店街に戻ろうとしたときだった。
「使って?」
いつの間にか私の傍に品の良い見知らぬ白髪のおばあさんが立っていた。
白髪のおばあさんは、自分が差していた花柄の傘を差し出していた。
私は、慌てて首を振った。
「えっ、大丈夫です」
「遠慮しなくていいのよ。私、車なの」
「いえ、本当に。商店街を通れば、家まですぐなので」
白髪のおばあさんは、ふふっと笑った。
「お互い、善意を断られるのは悲しいじゃない?」
お互い?
困惑した私に白髪のおばあさんは続けた。
「ごめんなさい。いまの見てたの。親切心だったのにいやねぇ。だから、受け取って。差し上げるから」
「でも……」
どこで見ていたんだろう。
おばあさんは、「いいの、いいの」と強引に私の手に傘を握らせると踵を返し、アーケード商店街とは逆方向へ歩き出した。
「あのっ、ありがとうございます!」
背を向けたおばあさんにそう叫ぶと、おばあさんはくるりと私の方を向いて小さく手を振った。
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