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「店を閉める?」 「うん、経営が苦しかったらしくて。次のバイトがすぐ決まるかわからないし」  そう口にしたとき、母は目を大きく見開いた。 「金がないって何よそれっ」  凄い剣幕だった。    母の反応に戸惑うとともに、悲しみが身体の奥で滲んでいく。  どうして、私が責められないといけないのだろう。 「どういうことよ?!」  詰め寄ってきた母に、さらに感情がえぐられる。  どういうこと……どういうことって―――― 「……人のせいにしないでよ」  喉から発した声は、か細かった。  苛立ちを隠しもせず「は?」と聞き返した母に、私は怒鳴った。 「あんたのせいでしょ! あんたが親じゃなかったら、家族じゃなかったら私だって!」  声を張り上げた途端、ボロボロと堰を切ったように涙がこぼれた。  この人の前で、泣きたくない。  私は逃げ込むように部屋に駆け込んだ。  暗い部屋の中、奈智が寝ているのか起きているのかわからない。  込み上げてくる涙を拭いながら、椅子に座ると顔を隠すように机に突っ伏した。  必死で節約して、働いて、家事して、友だちと遊んだり、誰かを好きになったり、勉強する時間も、着飾る余裕も何もない。頼れる人もどこにもいない。 「……もういやだ」
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