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こんな思いしたくない。こんな思いをしなくてすむ――――
「別の家族がほしい」
ポツリともれでた声は暗闇に溶け込んだ。
高ぶっていた気持ちが少し落ち着いてきたからなのか、静寂に包まれた部屋の中で、奈智の寝息が耳に届いたそのときだった。
パキ、バキバキ、と変な音が暗闇に響いた。
聞き慣れない何かが割れるような音に、顔を上げた。
なんだろう。
机のライトをつけて音がした場所に視線を向けた。
目に入ったのは、和紙の包みだ。
商店街で拾った落とし物をどうしていいかわからず、持ってかえって机に置いていたのだ。
何か壊れてしまったのだろうか?
私は落とし物を手に取ると、和紙の包みを開いてみた。
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