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中には三枚の五センチ程の木でできた薄い板が入っていた。
二枚の板は何の模様もなく、一枚目の板にだけ蓮のような花の絵が掘るように刻まれている。
特にひび割れた様子もない。
和紙の包みの裏にはよくみると小さく文字が書かれていて、開いた内側にも、五行ほど中国語のような小さな文字で何か書かれているが、全く内容がわからない。
何の音だったのだろう。
私は板を再び和紙で包み、学校の鞄に入れた。
持ちかえってしまったけど、人の物を持っているのは気が引ける。
壊したら嫌だし、返さなきゃ。
学校の後、洋食屋へ行く前に、アーケード商店街に行ってみよう。
落とした人にまた会える可能性は低そうだけど、いなければ交番に届ければいい。
机のライトを消して、ベッドにもぐり込んだ。
部屋の向こうから、もう母の声は聞こえない。
だいぶ酔っていたけど、そのまま寝ていないだろうか。
母の様子が気になったけれど、今日はもう顔を合わせる気にはなれなかった。
明日、母はどんな顔をしているだろう。
奈智の誕生日に喧嘩なんかしたくない。
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