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「時間通りには。お母さん、遅刻魔でしょ? 大丈夫。昨日、風邪ひいたら奈智の誕生日、祝えなくなるってなんて言って気にしてたよ」  奈智は目をぱっと明るくした。 「本当? じゃあ、久しぶりに家族でご飯を食べれるね!」 「ほら、もう学校行かなきゃ。遅刻する」  奈智をぐるりと回転させてランドセルを押すようにすると「お姉ちゃんが引き止めたのに~」とぼやきつつも嬉しそうな声をだした。 「行ってきますっ」  奈智は振り返って私に笑いかけると、小学校の方へ歩き出した。  奈智の後姿を見送ると、私も高校へ向かった。  奈智にはああいったが、本当は不安だった。  昨日のことが原因で、もし母が来なかったら奈智をがっかりさせてしまう――――  学校の休み時間に、私は鞄からスマートフォンを取り出して起動させた。 『昨日は言い過ぎてごめん。洋食屋に18時に予約してる。奈智、楽しみにしてるから』  そうメッセージを書いて、送信をタップした。 「これ、高戸の?」  席に戻ってきた瀬戸くんが床に落ちていた何かを拾って、私に差し出した。
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