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「明洋学園、私立だよ。知らない? 医者とか経営者とか家柄のいい子供が行くような学校。その生徒がこの辺の下町にいるとは思えないけど……」  頭にあの男の子が乗っていた高級車が浮かんだ。 「そうかも。高そうな車に乗ってたから」 「え、本当に?」  瀬戸くんは驚くように口を開いた。 「明学の関係者が持ってるお守りって、すごくご利益ありそうだね。どこのか調べてみようかな」  瀬戸くんは興味深そうに和紙の包みに再び目をやり、スマートフォンを取り出した。  ネットで調べるのかなと思っていたら、何か画面を表示させ私に見せた。 「落とし主探しも大変かと思うんだけど、よかったら……猫探しも協力してもらってもいい?」  スマートフォンの画面には、ハチワレ猫の写真が表示されていた。  冗談っぽく、懇願するような顔をした瀬戸くんを見て思わず笑った。 「あまり力になれないかもだけど、写真貰ってもいい?」  私がスマートフォンを向けると、瀬戸くんは「やった!」と、凄く嬉しそうに笑った。  そんな風に喜んでくれたら私も何だか嬉しくなって、沈んでいた気持ちが少しだけ浮上したような気がした。
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