きみの秘密を知っている

２

「え？　まだだけど……」
『それさ、中に薄い木の板が五枚入ってない？』

　昨夜、和紙の包みを開いたとき、中に入っていた木の板を思い浮かべた。

「うん。でも、確か三枚だったはず」
『三枚か……』

　枚数を確認しようかと、スマートフォンを耳と肩で挟み、鞄を開けていたときだった。

『違うかもしれないけど、それ早く交番に届けた方がいいかも。本物だったら八千万する』

　私は鞄のチャックを開けていた手をとめた。

「え？　八千円？」
『八千万』

一瞬、思考が停止した。
　はっせんまん……

「えっ！？」
『気になって調べてたら、ネットニュースでオークションで日本人が中国の呪符を60万ドルで落札したって記事を見つけて。掲載されている写真が高戸が持っていたものにそっくりなんだ』