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 近くにあるスーパーに駆け込むと、私は土曜市のタイムセールでこの日に買うと決めていた日用品や、食料を次々と買い物かごに入れた。  目当てだったものを一通り安く買え、ほっと胸を撫で下ろす。  これでしばらくは大丈夫。  しかも、店長にパンを貰ったからその分食費を節約できた。  少しだけ貯金できる。  休日にスーパーの袋を両手に提げて家に帰る、私みたいな高校生は世の中にどれくらいいるんだろう、と考えたりする。  バイトの休憩にみたクラスの子のイチゴパフェを食べてる写真が頭に浮かんで、虚しくなる。  あの子はきっと電気代だとか、食費だとかで頭を悩ませたりしないだろう。  世の中は不公平だ。  そう、嘆いてみたところで何も変わらない。  築古アパートの家の前で、私はふうっと息を吐き出すと卑屈な気持ちを胸にしまい、口角を上げ笑顔をつくって家のドアを開いた。 「奈智、ただいま~」 「おかえり~」  家の中から返ってきた声に、一瞬固まった。  返事したのは弟ではなかった。  玄関すぐのキッチンテーブルに、私を卑屈にさせる諸悪の根元が座っている。
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