オレは不幸だ

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【オレは不幸だ…】              南野 豊 その時、不思議なことに最初に頭に浮かんだのは『オレ、生命保険って、いくらぐらい入ってたんだっけ?』…だった。 「正確にはさらに精密な検査をしてみないと解りませんが、ガンの進行レベルとしてばステージ2と3の間ぐらいでしょう」 医師はこちらが理解しているか否かとは無関係に、淡々と説明を続ける。 「紹介状を書きますから、来週、大学病院でPET検査と内視鏡検査を受けてください」 医師の言っている内容は解るし、頭がフリーズしている訳ではないのだが、ピンと来ない。実感がないのだ。自分とはまったく関わりのない話が進められていくようで、まるでテレビのドラマでも見ているようだった。 健康診断で撮った胸部レントゲン画像に影があると、病院から連絡があった…。今朝、いきなり会社の総務部からの電話でそう告げられ、再度定期健診を受けた病院へ行けという。 …で、来てみたら半日を費やしていくつかの検査をし、『ガンである事は間違いない。大学病院へ行け…』である。
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