オレは不幸だ

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たしかに、いつもなら残業が早く終わっても終電まで飲んでいる。こんなに早い時間に家へ帰ったのは久しぶりだ。 「うん、ちょっとな…。早く帰っちゃ迷惑だったか?」 「いやねぇ…そんな事あるわけないじゃない。でもお夕飯は?」 「晩メシは済ませてきたからいい…。ビールか焼酎があったら出してくれ」 ビール瓶を冷蔵庫から取り出しながら、妻は話し続ける。 「それで、何を食べてきたんですか?」 何を食べたか…よく覚えていない。自分を落ち着かせようと、ひたすら飲んでいただけのような気もする。 「いや、いろいろとつまみながら飲んでたんだ」 「じゃあ、なんにも用意しないでいいの? お茶漬けかおにぎりぐらいだったらできるわよ」 「ウ~ン…じゃあ…何かつまめるものをくれ。乾きものか、漬物でもいい…」 「はいはい…」 〆のメシぐらいならできる…と言われて、酒のつまみが欲しいと答える。ずっと、ずっと、結婚して以来ず~っと、オレたちはこんなチグハグな会話を繰り返してきたんだろうな。
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