乾杯の後に…

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ふたりで創り、ふたりで歩んでいく結婚生活。けれども実は夫婦は互いにライバル関係でもある。バトルが始まって互いに意地になってくると、収拾がつかなくなる場合だってあるのだ。だから互いに侵食し合わないことでうまくいく面もある。バラバラで互いに干渉しない、努めて相手と関わらない冷めた夫婦も、それなりに夫婦関係を保っていく工夫でもあるのかも知れない。彩はいまになってようやく、それが解ったような気がしていた。 休日のアイリッシュ・パブは、のんびりした昼下がりの時間が終わって混雑し始めていた。スタンディング・テーブルで立ったまま飲んでいるグループもいる。 「いまも人を招いてパーティとか、やったりしてるの?」 運ばれてきたシェパード・パイに添えられていたフライドポテトをつまみながら、聡が尋ねた。 「ウウン…あれって聡みたいなホスト役がいたからうまくできたんだよ。ひとりじゃ準備して、ホステス役やって…なんて、絶対に無理」 「じゃ、料理もやっていないの? あれだけ凝ったものを作れたのに」
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