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彩はあのパーティの一件以来、聡には他にもたくさんの得意料理があるのではないかと思っていた。この機会にそのことを尋ねてみたかったが止めた。あの時、あれだけひどく怒ってしまったのに、いまさら何のために…と問い返されそうな気がして口に出せなかったのだ。その代わりに当時の聡の本音を聞いてみたくて、尋ねてみた。
「でもさ、聡はそんなに乗り気だったわけじゃなかったよね。アタシのパーティに付き合わされるのって、嫌だった?」
聡は飲みかけたビールをカウンターに戻して、首を傾げて言った。
「いや、それより彩があれだけ一生懸命準備して開いたパーティなのに、旦那の自分が何の役にも立たないんじゃ、彩がかわいそうだって思ってた。だからあの時パスタを作ってみたのも、場を盛り上げるのになにか協力したかっただけなんだけどね…」
「そっかぁ~、そんなに嫌でもなかったんだ…」
「それより、もっといろいろと手伝ってあげられたらよかったのかな…って、いまは思ってる」
■結婚生活に必要な事は3つあると言われる。ひとつは「努力」、もうひとつは「忍耐」、そして最後のひとつは「諦め」…なのだそうな。
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